FP&A用語集|予実管理からローリングフォーキャストまで50語

公開日:2026.10.28
更新日:2026.10.28

FP&A用語集とは、FP&Aの実務で使う50語を業務の流れに沿って7つに分類し、各語を定義1文と実務での意味合いで解説した一覧です。

収録語は「計画・予算」から「予測」「実績・差異分析」「レポーティング・KPI」「組織・役割」「システム・データ」「AIとFP&A」まで、仕事の順番どおりに並んでいます。

「予実の会議で飛び交う『着地』や『ランレート』の意味を、いまさら聞けない」。経理・財務の現場では、そんな小さなつまずきが積み重なっています。

経営側から見ても、同じ「予測」という言葉を目標の意味と見立ての意味で使い分けられていなければ、議論は最後までかみ合いません。

本記事は、FP&Aの言葉を仕事の流れに沿って一気に押さえるための用語集です。FP&Aそのものの全体像は、総合ガイドFP&Aとは?意味・業務内容から導入・AI活用まで【総合ガイド】で解説しています。

FP&A用語集の全体マップ(7分類×50語)

はじめに、50のキーワードがどの分類に属するかを1枚の表で示します。分類の並びは『計画の策定 ➔ 予測 ➔ 実績分析 ➔ 報告』という業務プロセスに沿っており、後半にはそれを支える「組織・システム・AI」といった要素を配置しています。

FP&A用語集の全体マップ(7分類・50語)
分類 語数 収録語
①計画・予算 10 予算策定/中期経営計画/トップダウン予算・ボトムアップ予算/ゼロベース予算/ドライバーベース計画/シナリオプランニング/設備投資計画(CAPEX)/運営費(OPEX)/固定費・変動費/損益分岐点
②予測 8 フォーキャスト/ローリングフォーキャスト/着地見込み/感度分析/シミュレーション/ランレート/パイプライン/ベースライン
③実績・差異分析 8 予実管理/差異分析/価格差異・数量差異・構成差異/為替影響/月次決算/管理会計と財務会計/配賦/セグメント損益
④レポーティング・KPI 8 KPI/先行指標・遅行指標/経営ダッシュボード/マネジメントレポート/バリュードライバーツリー/EBITDA/ROE・ROIC/フリーキャッシュフロー
⑤組織・役割 8 FP&A/CFO/ビジネスパートナー/コントローラー/コーポレートFP&A・事業部FP&A/デュアルレポーティング/経営企画/経営管理
⑥システム・データ 5 ERP/EPM・CPM/BIツール/データ基盤(DWH)/スプレッドシート管理
⑦AIとFP&A 3 AI FP&A/予測モデル/AIエージェント

*スワイプすることで表の全てが出ます。

ポイント

50語は「計画・予算→予測→実績・差異分析→レポーティング・KPI」という業務の流れと、それを支える「組織・役割」「システム・データ」「AIとFP&A」の7分類で構成。

分類の順番どおりに読めば、言葉と仕事の流れを同時に覚えられる。

FP&A用語50語の解説

ここからは分類ごとに50語を解説します。各語は「用語(英語/略語)」「定義1文」「実務での使われ方や注意点」の順で統一し、定義文は単独で意味が通る1文に絞っているため、社内資料にそのまま引用できます。

①計画・予算の用語(10語)

最初の分類は、中期経営計画から年度予算へ数字を落とし込む過程で使う10語です。

予算策定(Budgeting)

経営戦略と中期経営計画を、年度の売上・費用・利益・投資の数値目標に落とし込む作業。年度予算は決めたら終わりではなく、期中の予測や予実管理の「物差し」として使われ続けるため、数字の精度よりも前提条件を説明できることが大切です。

中期経営計画(Mid-term Business Plan/中計)

3〜5年程度の期間について、企業の目指す姿と数値目標、主要施策を示す計画。日本企業では「中計」と略され、FP&Aはその数値を初年度予算へ分解し、進捗を毎年の予算と予測で検証します。

トップダウン予算・ボトムアップ予算(Top-down/Bottom-up Budgeting)

経営が目標を先に示して組む方式と、現場の積み上げから組む方式という予算の立て方の区分。実際には両者を往復させる「すり合わせ」が一般的で、その往復をどう短くするかが実務上の論点です。

ゼロベース予算(Zero-Based Budgeting/ZBB)

前年実績を前提にせず、すべての費用をゼロから必要性を検証して組む予算の手法。前年踏襲を断ち切る効果がある一方で手間が大きいため、特定の費目や部門に絞って適用されることが多い方法です。

ドライバーベース計画(Driver-Based Planning)

売上や費用を、顧客数や単価、稼働率といった「業績を動かす要因」から計算して組む計画の手法。要因(ドライバー)を変えるだけで計画全体を再計算できるため、予測やシナリオ分析と相性のよい方法です。

シナリオプランニング(Scenario Planning)

為替や需要など将来の不確実な前提に複数の筋書きを置き、それぞれの業績を描く手法。「楽観・標準・悲観」のように幅を持たせておくことで、前提が崩れたときに計画を素早く置き直せます。

設備投資計画(Capital Expenditure/CAPEX)

工場や設備、システムなど長期にわたって使う資産への投資を指す言葉と、その計画。損益計算書には減価償却として分割して表れるため、現金の支出時期と利益への影響時期がずれる点に注意が必要です。

運営費(Operating Expense/OPEX)

人件費や家賃、販売促進費など、日々の事業運営のために継続的に発生する費用。CAPEXと対で使われ、「設備として持つか、サービス利用料として払うか」の判断にも関わる言葉です。

固定費・変動費(Fixed Cost/Variable Cost)

売上の増減にかかわらず発生する費用と、売上に比例して増減する費用という区分。この区分がないと損益分岐点も利益の感度も計算できないため、厳密さより自社なりの区分ルールを決めて使い続けることが重要です。

損益分岐点(Break-Even Point/BEP)

売上高と費用が等しくなり、利益がちょうどゼロになる売上高または販売数量。固定費を限界利益率で割って求め、そこまでの余裕を見ることで売上が落ちた場合の耐久力を把握できます。

②予測の用語(8語)

2つ目は、年度が始まってから「この先どうなるか」を見通す仕事の8語です。

フォーキャスト(Forecast/業績予測)

直近の実績と事業環境の変化を織り込み、今後の業績を見通すこと、またはその数値。予算が「目標」であるのに対し、フォーキャストは現時点で最もありそうな見立てです。両者を混同しないことが、予測の精度より先に求められます。

ローリングフォーキャスト(Rolling Forecast)

一定期間先(例:12〜18か月)を常に見通すよう、予測を定期的に更新し続ける手法。年度末で区切る予測と違い、期末が近づいても視野が短くならない点が特徴です。

更新の頻度と粒度を欲張りすぎると、現場の負担で続かなくなります。

着地見込み(Year-end Outlook/Landing Forecast)

年度末時点の業績が最終的にどの水準に落ち着くかを示す、期中の見通し。「着地」は日本企業の経営会議で頻繁に使われる言葉の一つです。

確定した実績と残り期間の予測を合算して作り、予算との差を説明する材料になります。

感度分析(Sensitivity Analysis/What-if分析)

為替や単価など特定の前提を一つ動かしたとき、利益などの結果がどれだけ変わるかを測る分析。「どの前提が利益を最も揺らすか」を見つける分析で、シナリオプランニングで注目すべき変数の絞り込みにも使われます。

シミュレーション(Simulation)

複数の前提や施策の組み合わせを計算モデルに入れ、結果として得られる業績を試算すること。感度分析が一変数ずつの検証であるのに対し、複数の条件を同時に動かす点が特徴で、モデルの前提を共有しておかないと数字だけが独り歩きします。

ランレート(Run Rate)

直近の実績ペースがそのまま続いた場合の、年間換算などで表した業績の水準。月次売上を12倍するような簡便な見通しで、立ち上げ期の事業の規模感をつかむのに便利ですが、季節性のある事業には向きません。

パイプライン(Pipeline/受注見込み)

商談中の案件を、受注確度や受注時期ごとに整理した受注見込みの一覧。FP&Aが売上予測を組む材料になるため、受注確度の定義が営業と財務でずれていないかの確認が欠かせません。

ベースライン(Baseline)

施策や変化の効果を測るための比較基準となる、何もしなかった場合の予測や実績の水準。新施策の効果を「ベースライン比でいくら」と示せると投資判断が明確になりますが、基準の置き方自体が議論になる点に注意が必要です。

③実績・差異分析の用語(8語)

3つ目は、出てきた実績を計画と突き合わせる仕事の8語で、月次の経営会議で最も多く飛び交います。

予実管理(Budget vs. Actual Management)

予算と実績を定期的に比べ、差の原因を確かめて次の行動につなげる管理の仕組み。FP&A関連の用語の中でも、検索されることの多い言葉の一つです。差を集計して報告するだけで終わると作業になり、原因と打ち手までを扱ってはじめて経営管理になります。

差異分析(Variance Analysis/バリアンス分析)

予算や予測と実績のズレを要因ごとに分解し、ズレが生じた理由を特定する分析。分解の切り口(価格・数量・構成・為替など)を先に決めておくと、毎月の分析を同じ基準で比較できます。

価格差異・数量差異・構成差異(Price/Volume/Mix Variance)

売上や利益の差異を、単価の変化・販売数量の変化・商品構成の変化に分けて示す区分。「売上は予算どおりなのに利益が足りない」場面で、値引きが原因か利益率の低い商品に偏ったのかを切り分けるために使います。

為替影響(FX Impact/コンスタントカレンシー)

為替レートの変動が業績に与えた影響と、その影響を除いて前年と比較する考え方。海外売上のある企業では、「為替を除いた実力ベースの成長率」を示すことが経営会議や投資家向け説明の定番です。

月次決算(Monthly Close)

毎月の取引を締めて、その月の損益と財政状態を確定させる経理の業務。FP&Aの分析はこの数字が出てから始まるため、締めの早さがそのまま分析と意思決定の早さを左右します。

管理会計と財務会計(Management Accounting/Financial Accounting)

社内の意思決定のための会計と、社外へ報告するための制度上の会計という区分。FP&Aが扱うのは主に管理会計の数字で、両者の利益が一致しない理由を説明できることが信頼につながります。

配賦(Cost Allocation)

本社費や共通費など特定の部門に直接ひも付かない費用を、一定の基準で各部門や事業に割り振ること。配賦基準の決め方で事業別の利益は大きく変わるため、「配賦前」と「配賦後」のどちらで事業を評価するかが論点になります。

セグメント損益(Segment P&L/事業別損益)

事業や地域、製品群などの単位ごとに売上と費用を集計した損益。資源配分の判断はこの単位で行われるため、どの単位で集計するかの設計が重要です。

④レポーティング・KPIの用語(8語)

4つ目は、分析の結果を経営に届けて判断につなげる仕事の8語です。

KPI(Key Performance Indicator/重要業績評価指標)

目標の達成度を測るために選んだ、業績を代表する数値指標。指標が多すぎると何も語らなくなるため、経営の意図が伝わる少数に絞り、定義と算出方法を文書化しておくことが運用の前提です。

先行指標・遅行指標(Leading/Lagging Indicator)

結果が出る前に変化が表れる指標と、結果が出た後に確定する指標という区分。売上や利益は遅行指標で、商談数や稼働率のような先行指標を組み合わせることで結果が確定する前に手を打てます。

経営ダッシュボード(Management Dashboard)

主要なKPIや業績の推移を、一画面で把握できるように視覚化した画面や資料。見栄えより「誰が、どの判断のために見るか」が設計の出発点で、見る人ごとに必要な粒度が異なる点に注意が必要です。

マネジメントレポート(Management Report/月次経営レポート)

経営層や取締役会に向けて、業績・予実・見通し・課題を定期的にまとめた報告資料。数字の羅列ではなく、「何が起きて、どう見立て、何を決めてほしいか」が伝わる構成が求められます。

バリュードライバーツリー(Value Driver Tree)

利益や企業価値を、売上・費用・資本といった構成要素へ段階的に分解した樹形図。全社目標と現場のKPIを一本の線でつなぐ道具で、KPI設計と差異分析の共通言語になります。

EBITDA(Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation and Amortization)

利息・税金・減価償却費を差し引く前の利益で、事業そのものの収益力を示す指標。設備投資や資金調達の方法に左右されにくいため事業同士の比較に使われますが、現金の動きそのものではない点に注意が必要です。

ROE・ROIC(Return on Equity/Return on Invested Capital)

株主資本に対する利益率と、投下資本(株主資本と有利子負債の合計)に対する利益率。ROE(自己資本利益率)は投資家向けの代表的な指標、ROIC(投下資本利益率)は事業ごとの資本効率を測る指標として使われます。

フリーキャッシュフロー(Free Cash Flow/FCF)

事業活動で得た現金から、事業の維持に必要な投資を差し引いた、自由に使える現金。利益が出ていてもFCFがマイナスという状況は起こりえるため、利益と現金の両方で事業を見ることが基本姿勢です。

⑤組織・役割の用語(8語)

5つ目は、業務を担う人と組織を表す8語で、誰がどこに置かれ誰に報告するのかという組織設計の議論に欠かせません。

FP&A(Financial Planning & Analysis)

財務計画と分析の略で、計画・予測・分析を通じて経営の意思決定を支える機能と職種。略語の成り立ちや読み方はFP&Aの基礎知識まとめ|意味・役割・機能を体系的に理解するで解説しています。

CFO(Chief Financial Officer/最高財務責任者)

企業の財務・経理・経営管理を統括し、経営の一翼を担う役員。FP&Aは多くの企業でCFOの直下または管轄下に置かれ、CFOが決算と資金という「守り」に加えて戦略を支える「攻め」を担うほど重要性が増します。

ビジネスパートナー(Finance Business Partner)

事業部門の隣に立ち、採算や投資の判断に数字で伴走する財務側の担当者、またはその働き方。本社で数字を待つのではなく現場に入ることが特徴で、役割としての位置づけは「FP&Aの役割とは」で解説しています。

コントローラー(Controller)

経理・会計処理と内部統制の責任者として、数字の正確性を担保する役職。米国企業では過去の数字を固めるコントローラーと将来を扱うFP&AをCFOの下で分けて置く形が一般的で、日本企業では経理部長に近い役割です。

コーポレートFP&A・事業部FP&A(Corporate FP&A/Business Unit FP&A)

全社の計画と資源配分を担う本社側のFP&Aと、各事業に張り付いて伴走する事業部側のFP&Aという配置の区分。本社側は全社最適、事業部側は事業の採算と現場の判断支援に重心があり、両者の分担が組織設計の中心的な論点です。

デュアルレポーティング(Dual Reporting/二重報告)

事業部に配置された担当者が、事業部長と本社の財務部門の双方に報告する体制。事業に寄り添いながら本社への独立性を保つ仕組みで、評価や人事をどちらが持つかを決めておかないと担当者が板挟みになります。

経営企画(Corporate Planning)

中期経営計画の策定や全社的な戦略課題の推進を担う、日本企業に多く見られる部門。多くの日本企業では経営企画がFP&Aの働きの一部を担ってきており、両者の分担は比較・違いカテゴリの記事で個別に扱います。

経営管理(Management Control)

計画を立て、実績を測り、差を修正する仕組みを通じて企業を運営する活動の総称。FP&Aを日本語で表すときに最も近い言葉の一つで、経営管理が「活動」、FP&Aが「その活動を担う機能・職種」と整理できます。

機能を4つに分けた解説はFP&Aの役割とはをご覧ください。

⑥システム・データの用語(5語)

6つ目は、数字を集めて扱う道具の言葉で、製品名ではなく種類を表す5語です。

ERP(Enterprise Resource Planning/基幹業務システム)

会計・販売・購買・人事などの業務データを一つの仕組みで統合管理する基幹システム。FP&Aにとっては実績データの源泉で、勘定科目や部門コードの設計がそのまま分析できる粒度を決めてしまいます。

EPM・CPM(Enterprise/Corporate Performance Management/経営管理システム)

予算策定・予測・連結・レポーティングといった経営管理の業務を支援するシステムの総称。ERPが「実績を記録する」仕組みであるのに対し、EPMは「計画と分析を行う」仕組みで、導入前に管理したい単位と粒度を決めておく必要があります。

BIツール(Business Intelligence)

蓄積されたデータを集計・可視化し、グラフやダッシュボードとして表示する分析ツール。経営ダッシュボードの土台になり、見せ方の工夫よりも元データの定義をそろえることが成否を分けます。

データ基盤(Data Warehouse/DWH)

複数のシステムに散在するデータを集約し、分析に使える形で保管する仕組み。この基盤がないと、FP&Aの時間の多くがデータの収集と加工に費やされます。

スプレッドシート管理(Spreadsheet-based Management/Excel依存)

予算や予測、レポートを表計算ソフト上のファイルで作成・管理している状態。柔軟で始めやすい反面、版の管理や属人化が課題になるため、どこまでを表計算で持つかの線引きが現実的です。

⑦AIとFP&Aの用語(3語)

最後は、FP&Aの仕事の進め方を変えつつあるAIの3語です。

AI FP&A

AIを前提にFP&Aの業務と組織を再設計し、計画・予測・分析の速度と質を引き上げる考え方。既存の作業をAIで置き換えるだけでなく、業務の組み立て自体を見直す点が特徴です。

詳しくはAI FP&Aとは|AIで進化する経営管理の最前線【総合ガイド】で解説しています。

予測モデル(Predictive Model/機械学習による予測)

過去のデータの規則性を統計や機械学習で学習し、将来の数値を推定する計算モデル。需要予測や売上予測への適用が進んでおり、出力を鵜呑みにせず前提の変化を人が補正する運用設計が欠かせません。

AIエージェント(AI Agent)

目的を与えると、データの取得・分析・報告といった一連の作業を自律的に進めるAIの仕組み。定型の集計や差異コメントの下書きを任せる使い方が広がりつつあり、任せる範囲と人が確認する範囲の線引きが要点です。

ポイント

用語は単独で覚えるより、隣り合う語とセットで押さえると定着する(予算と予測、感度分析とシミュレーション、ERPとEPM など)。

定義文はそのまま社内資料に引用できる1文にそろえているため、用語の統一の出発点として使える。

用語を業務サイクルで覚えるコツ

50語を一度に暗記する必要はありません。自分の仕事がサイクルのどこにあるかを起点に隣の分類へ広げていくのが現実的で、立場ごとの入り口は次の2つに分かれます。

経理・財務の担当者は「実績」から

月次決算や集計を担っている方は、③実績・差異分析の語がすでに日常の仕事に重なっています。予実管理、差異分析、配賦を自分の言葉で説明できるようになったら、②予測へ進むのが自然な順路です。

実績を締める人が「この先どうなるか」まで語れるようになると、仕事の価値は一段上がります。

経営企画・CFOは「報告」から逆算する

経営側の立場なら、④レポーティング・KPIの語から逆算するのが早道です。経営会議で何を見て何を決めるかを先に定めると、必要な指標、その指標を支える実績の粒度、予測の更新頻度が順に決まります。用語の定義をそろえることは、会議の速度を上げる投資でもあります。

ポイント

経理・財務の担当者は「実績・差異分析」の語から予測へ、経営側は「レポーティング・KPI」の語から逆算して覚えるのが近道。

社内で定義をそろえること自体が、経営会議の生産性を高める。

よくある質問

FP&Aの用語をめぐり現場で聞かれることの多い疑問について、本用語集の視点からお答えします。

Q1. FP&Aの用語はまず何から覚えればよいですか?

A. 自分の業務に最も近い分類から始めるのが効率的です。経理出身なら「実績・差異分析」の語、経営企画なら「計画・予算」の語が入り口になります。

立場を問わず最初に押さえたいのは、予算(目標)・フォーキャスト(見立て)・着地見込み(年度末の見通し)という3語の使い分けで、ここが曖昧だとほかの語を覚えても会議で話がかみ合いません。

Q2. 予実管理とローリングフォーキャストの違いは何ですか?

A. 向いている時間の方向が違います。予実管理は、すでに出た実績を予算と比べて差の原因を説明する「過去から現在」に向いた管理です。

ローリングフォーキャストは、一定期間先を常に見通すよう予測を更新し続ける「将来」に向いた手法です。両者は対立するものではなく、予実管理で見つけた差の原因を次の予測更新に反映するという補完の関係にあります。

Q3. FP&Aの用語は英語のまま使うべきですか?

A. 社内で意味が共有されていれば、英語のままでも日本語でも構いません。外資系企業や海外拠点とのやり取りでは英語の略語が共通語になる一方、予実管理・着地見込み・配賦のように日本語の定訳が根付いている語は、無理に英語へ置き換えないほうが伝わります。

大切なのは表記の統一より定義の統一で、本用語集に英語を併記したのは両方の場面に対応するためです。

Q4. 管理会計の用語とFP&Aの用語は同じですか?

A. 大きく重なりますが、同じではありません。固定費・変動費、損益分岐点、配賦、セグメント損益といった管理会計の用語は、FP&Aの土台としてそのまま共通です。

一方、ローリングフォーキャスト、ビジネスパートナー、デュアルレポーティング、EPMのような予測・組織・システムに関する語はFP&A側に固有で、管理会計の教科書には登場しないことが多い言葉です。

Q5. FP&A分析とは何ですか?

A. FP&Aが行う分析業務の総称で、差異分析、感度分析、シナリオ分析、投資の採算分析、事業別の損益分析などを含みます。決算数値の正確性を確かめる経理の分析とは目的が異なり、「次に何をすべきか」を導くための分析です。

結果に「だから何を決めるべきか」が添えられているかが、単なる集計との分かれ目になります。

まとめ|50語は業務の流れで覚える

用語集の要点を、分類の流れに沿って振り返ります。

  • FP&A用語集は、実務で使う50語を業務の流れに沿って7分類で整理したもの。
    各語は定義1文と実務での意味合いで解説した
  • 前半4分類(計画・予算→予測→実績・差異分析→レポーティング・KPI)は年間の業務サイクルそのもの
  • 後半3分類(組織・役割/システム・データ/AIとFP&A)は、そのサイクルを支える基盤の言葉
  • 最初に押さえるべきは、予算(目標)・フォーキャスト(見立て)・着地見込みの使い分け
  • 英語か日本語かより、社内で定義をそろえることが会議の速度を上げる

言葉の定義がそろえば、経営会議は説明の場から決める場へと近づきます。本記事をお届けした株式会社FP&A Japanでは、FP&A部門の立ち上げと運営で培った実務の言葉の使い方をもとに、今後も日本企業の経営管理に役立つ情報を発信していきます。

この記事の監修者

監修(FP&A実務・経営管理の設計)

小池 武史(こいけ たけし)
FP&A Professional/株式会社FP&A JAPAN 代表取締役社長 CEO

株式会社電通で営業・事業企画・経営企画を歴任し、電通ジャパンネットワークではFP&A部門の立ち上げを担当。部門リーダーとしてCOO・CFOの直下で経営推進を支えてきました。事業企画からFP&A、中期経営計画、税務まで実務に精通し、2026年1月に株式会社FP&A JAPANを設立、代表取締役社長に就任。

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共同監修(会計・ファイナンス) 榎並 晃司|公認会計士/株式会社FP&A JAPAN 取締役副社長 CFO

監査法人と事業会社の両方で、管理会計・決算・M&Aに幅広く携わってきました。
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